小泉内閣のもと、構造改革なるものが進行するらしい。共産党の志位書記長なんかが盛んに言っているけど、「構造改革の中身は何か?」という、当たり前だけどなかなか説明することが難しい疑問も存在することは確かである。
「構造改革」という、ある種、魔法のような言葉を信じることによって、世の中にポジティブな空気が広がるならば、それは悪いコトではないような気がする。
その様なお題目は、明治維新後の日本経済の発展を間接的に支えてきたことも間違いない。
簡単に思いつくだけでも、戦前の「富国強兵」、そして池田勇人の「所得倍増計画」、田中角栄の「日本列島改造」などなど。
「規制緩和」なんかもその内の一つだろう。そして、「構造改革」。
だけど、ボクには何か空虚なものを感じざるを得ない。それは、簡単に説明することが出来ず、中身がなかなか見えない「構造改革」というモノに対する漠然とした疑問もその一部だけど、一番の要因は、続々と打ち出される政策の中身である。
例えば、今日、報じられたモノでは、「大学発のベンチャーを育成することで、終身雇用を前提とした制度の見直しを図る」と言うモノがあった。
将来の不安を打破するような創造性の拡大、労働力の流動化、新分野への注力による活力の獲得、なんかがこの政策の目標らしい。
で、3年間で1000社ほどの大学での研究成果を元にしたベンチャー企業を生み出すことが目標らしい。
以前の、規制緩和論議でも、「規制緩和によって新産業を創出し、それによって余剰な労働力を吸収する」なんてことを、今はだいぶ落ち目な有名な経済学者が言ってたけど、ココに共通の疑問がある。
例えば、それぞれのベンチャーが多く見積もって平均50人の社員を抱えているとしよう。1000社で5万人の雇用が産み出されるわけである。しかしながら、そこで雇用されるのは、比較的スキルの高いヒト達になるだろう。何故ならば、基本的にベンチャー企業は社員一人ひとりにかかる負担が大きく、ITなども積極的に活用していかなければならないからである。
少なくとも、既存の産業よりも低いレベルのスキルしか要求しない産業ならば、当然これまでに生まれているはずだし、参入も容易なはずなので、ベンチャーとして産み出される企業は比較的高度なスキルを持った労働者を雇いたがるはずである。
一方で既存の企業は自らの競争力を高めるために、これまたスキルが高い社員を残し、使えない社員の首を切る。
このようなヒト達はどのようなカタチの労働力として吸収されるのだろうか?
一説には、構造改革の結果として、失業率は8%程度まで上昇するとするヒト達もいる。(現在の労働力人口から考えると8%=500万人)一方で、新しい産業によって吸収されるのはその内のごくわずかである。(上の例で言えば500万のウチ、わずか1%である)
本当にこのコトを多くのヒト達は分かっているのだろうか?
構造改革という、なんだか響きの良い言葉で、何故か自分にとって何か良い方向に事態が転ぶと勝手に想像しているヒト達ばかりではないのだろうか?
小泉さんが80%強の支持率を獲得しているのも、多くのヒト達が何かが(自分にとって良い方向に)変わると、ある種の、幻想を抱いているからではないだろうか?
構造改革が何かを説明することは難しい。だけど、はっきりしていることは、全てにきちんと取り組もうとすれば、プラスの効果が出るまでには何年もの時間がかかるコトで、その結果は必ずしも多くの人々にとってプラスではないということだ。
Posted by mnchk
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