驚いた。夢かと思ったくらい。
一つ下に、イロイロ書きたい事のメモを残しておいたけど、これを書き残さずして何を書き残すんだろう。
2003年度のノーベル経済学賞は、ウチの学校のClive GrangerとRob Engleが受賞するコトが決まったからだ。Engleは引退してしまって、NYUに最近はもっぱらいるみたいだけど、それにしても、二人が同時に受賞するなんて思っても見なかった。
Grangerの方は、見た目も結構老けてるし、彼の業績は文句の付けようがないから、僕らGrad studentsの間でも、「あぁ、今年もダメだったねぇ」っていうのが恒例の会話だったし、2000年に同じEconometricsからHeckmanとMcFaddenが受賞したから、当分Econometricsから受賞者が出るコトは無いだろうって言うのが、もっぱらの見方だったのに。
僕が、UCSDのPh.D. programに入った時には、もう、Rob EngleはNYUの方に活動の拠点を移していたから、セミナーで2回ぐらいプレゼンを聞いたぐらいの接点しかないけど、Grangerの方は、Core courseのTime-series analysisとelectiveのForecastingのクラスを取ったから、より親しみを感じる。
彼は、もう69歳みたいだけど(今回の受賞で初めて正式な年齢を知った。もっと歳を取っているかと思ってた)、今でもバリバリ研究者として働いている。しかも、ドカドカと新しいアイディアを持って。本当に、絶対にあそこまでは行けないって思い知らされる程の凄さを持っている。見た目は、穏やかなご隠居といった感じで、結構お茶目なのに。
タダ優秀なだけじゃなくて、何て言うんだろう、学問に対してのphilosophyをキチッと持っているヒトだと思う。彼が書いたりしているpaperから読み取れる以上のinsightを持っているヒトだ。しかも、この好き嫌いの結構激しいこの業界で、たぶん、彼はほとんどのヒトに愛されているような気がしてならない。もちろん、Econometricsが専門じゃないヒトからも。
彼を一躍有名にしたのは、因果関係についてのGranger-causalityだと思う(正確に言うと、Grangerのnon-causality)。普通、誰かのやったコトを自分の論文の中で使うときは、大体、きちんと引用元を明記するのが決まりだけど、このヒトの仕事の場合、あまりにも偉大(?)過ぎて、当たり前の様にみんな使っている。なんせ、普通は、
A causes B.
というところだけど、このヒトのcausalityの概念を使って因果関係を説明するときには、
A Granger-causes B.
と言われるくらい。
もちろん、Rob Engleの業績だって、すさまじい。だけど、何が凄いって、このNobel Laureateの二人がほとんど時を同じくして、まだまだできたてのホヤホヤに近いこの学校にやってきて(ウチのdepartmentが出来たのは1964年、そしてGrangerが1974年、Engleが75年に入ってきた)、切磋琢磨しながらここまで上り詰めただけではなく、偉大な二人のお陰で、多くの優秀なEconometricianを引き付けたコト。無名の学校を、彼らが自らの力でここまで(といっても、そりゃHarvardやMITには到底トータルでかなう訳じゃないけど、Econometricsと言ったらUCSDというレベル)引き上げたわけだから、随分とエキサイティングな人生だと思う。
ボク自身は、結局のところ、興味があったけど、自分の能力ややりたいコトを考えて、Econometricsを自分の専門にしなかったけれども、普通のPh.D. programでは有り得ない、6つのEconometricsのrequirementでずいぶんと影響を受けた気がする。
これからボクは自分のresearchにどっぷり浸かる生活になる訳だけど、彼らの成し遂げたことの1%でもいいから、そこに近づけるよう、この二人と同じ時間を少しでも共有できたことをエネルギーにして頑張ろうと思った。
UCSD News Release
About Prof. Granger & Prof. Engle (pdf file)
Nobel e-Museum
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それにしても、今まで日記を全然書いてなかったけど、最近に限って書きたいことが山盛り。
昨日は、Californiaの州知事にシュワルツネッガーが選ばれたニュースが流れたばかり。投票権がない僕らにとっては、州の財政赤字は、州立大学であるUCSDの財政状況にも影響するので、財政赤字さえ何とかしてくれれば、誰でも良かったりする。
ところが、意外なコトが判明。UCSDはUniversity of Califoniaのひとつのキャンパスな訳だけど、それを統括する組織としてUC Regentsと言うものがある。例えば、学費なんかを納めるのも全てUC Regents宛て。
で、学位等を貰うのもUC Regentsが最終的に授与するらしい。ここで、思わぬ影響が…
Californiaの州知事は自動的にUC Regentsのメンバーになるらしい。Master degreeやC-Phile(Ph.D.のcandidateになるための資格)、更にはPh.D.のdiplomaにはUC Regentsからのサインがあるらしいんだけど、C-Phileを持っている上級生の話では、先ほどリコールされたDevis州知事のサインがあるらしい。
つまり、シュワルツネッガーが州知事を続ける限り、ボクのdiplomaには彼のサインが乗ることになる…
うれしいんだか、うれしくないんだか…
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他にもボクには、個人的にちょっとした出来事があった。
先週の金曜と今週の月曜、TAをしてるクラスで授業をした。先生が、息子さんが結婚するとかで、授業を出来ないから代打として。先学期、彼のTAをして、いたく気に入られたせいか、他に5人もTAがいるにも関わらず、迷わずボクに白羽の矢が立ってしまった。
一本釣りされると、やっぱり断りにくいもので、しぶしぶ引き受けてしまったのは、先々週の金曜日ごろ。それから、ちょろちょろと準備をして、300人ばかりの生徒の前に立つ。600個ほどの目がボクを見ている訳だけど、意外と緊張せずに授業をすることが出来た。まぁ、今回で3回目と4回目の経験になるわけだし、しかも教えなければいけない内容が、自分が結構良く知っているコトだったからかも知れない。
ただ、金曜日の授業は、あまりにも思っていたよりも緊張しなかったコトに気を良くしたのか、入念に作っていったLecture Noteをほとんど見ないで、結構長い証明をしていたら、知らず知らずのうちに緊張していたらしく、途中で計算ミスをいくつかしてしまった。しかも、それを生徒に指摘されてしまうオマケつき。結構長めの証明だったから、途中でパラパラと帰って行く生徒もいたし…
しかも、「これはテストに出ると思う?」って聞かれて「う〜ん、長いからたぶん出ないと思うよ」って言った直後に。
月曜日には、ミスに懲りたので、更に輪をかけて入念に準備して、しかも、ちゃんとLecture Noteを逐次チェックしながら、授業を進めたので、まぁまぁ、合格点の出来だったと思う。50分の授業を終え、
I will stop here and he will come back on Wednesday.
と言って授業を締めくくったら、生徒たちから拍手が!
もちろんのコトながら、社交辞令だって分かっているけど(みんな学期の最後には拍手してるし)、それでもすごくうれしい出来事だった。